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李登輝「武士道」解題・語録シリーズ6

李登輝「武士道」解題・語録シリーズ⑹

第二部 武士道を読む


第十四章 婦人の教育および地位

・ローマ人のごとき軍事的国民の間にありて婦人が高き尊敬をはらわれたのは何に依るかそれは彼らがマトロネーすなわち母であったからではないか戦士もしくは立法者としてではなく母としてローマ人は婦人の前に身を屈めた

・わが国民についても同様である父や夫が戦場に出て不在なる時家事を治むるは全く母や妻の手に委ねられた幼児の教育その防衛すらも彼らに託された

・本当の武士道に目覚めれば剣道や柔道などの戦場で必要な武芸迄男女平等であるべきだなどと言う偏った悪平等主義に振り回されることなどありえない

・既に100年以上も前にこう言う大切な事を言っていた人がいたというのにいったいどこで戦後日本の教育は方向を取り違えてしまったのか私は本当に不思議でしょうがありません今こそ真に民主的で平等な教育とは何かと言う問題を真剣に考えてみるべきだ

・その有力な手掛かりとして日本人には武士道と言う輝かしい民族の文化遺産があるのだ

・という誇りと自信を取り戻すべきではありませんか

・私が教科書改革に懸命に取り組んだのもその重要な一環でした

・それまでの教科書には大陸中国の事ばかり詳しく書かれていて肝心要の台湾のことなどほとんど書かれていませんでした

・本当に台湾人の台湾人による台湾の為の歴史と文化を知ろうとすれば日本による統治時代の事も出て来るでしょう

・その為に日本による統治時代に台湾の社会的基盤が構築されたことを正しく評価する教科書つくりに取り組んだ

・台湾の民主化がこのように速いスピードで進んだのも決して教育改革と無関係ではない


第十五章 武士道の感化

・武士道の徳は罪悪に劣らず伝染的である

・仲間の間にただ一人の賢者があればよいしからば全てが賢くなるそれ程伝染は速やかだ

・悪平等主義の横行は率先垂範すべき賢き身分の者がいなくなってしまったからだ

・リンゴ箱にリンゴが一個でも腐るとみんな腐ってしまうという実に情けない状況が現出

・武士道は最初はエリートの光栄いとして始まったが時をふるに従い平民は武士の道徳的高さまでは達しえなかったけれども大和魂は遂に島帝国の民族精神を表現するに至った

・敷島の 大和心を人問わば 朝日に匂ふ 山桜花


第十六章 武士道はなお生くるか

・かくすれば かくなるものと 知りながら やむにやまれぬ 大和魂

第十七章 武士道の将来

・日本人の心によって証せられかつ領解せられたるものとしての神の国の種子はその花を武士道に咲かせた

・悲しむべしその十分の成熟を待たずして今や武士道の日は暮れつつある

・わが国民の欠点短所に対しても武士道が大いに責任ある事を承認するは公平である

・そういう意味では武士道の現代的意義について軍国主義だなどと言って一刀両断に切り捨ててしまおうという人がいるのは非常に残念です

・台湾の人々が日本に対し依然として尊敬の念を抱いているのもこの様な精神があるから

・義を重んじ誠をもって率先垂範実践躬行するという大和魂の精髄がいまなお脈々として武士道精神の中に生き残っていると信じ切っているからこそ日本及び日本人を愛し尊敬しているのです

・武士道は一の無意識的なるかつ抵抗し難き力として国民および個人を動かしてきた

・新日本の最も輝かしき先駆者の一人たる吉田松陰が刑に就く前夜詠じたる次の歌は日本民族の偽らざる告白であった

 かくすれば かくなるものとは 知りながら やむにやまれぬ大和魂

・愛国心と言うものは口先だけではなくて実際に行うというところにこそあるのだ

・現在の日本社会の中に於ける武士道の存在の大切さは誠実であれと言う様な武士道精神の精髄は結局教育を通じてしか伝え得ない

・その意味において武士道と言う名の日本の根本精神はますます絶対必要不可欠な土台となって来ると思うのです

・日本人よ自信をもて日本人よ武士道を忘れるなと


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